【書評】「続・技術者の意地―品質工学と品質管理の融合」品質に関して初心者必見【生産技術に役立つ】
・製品やサービスの品質を改善するために、どのような技術や方法を使えば良いかわからない
・製品設計や製造現場での品質管理に関わる人とのコミュニケーションや協力がうまくいかない
多くの人が品質工学やTQMに関する悩みを抱えている思います。
そんな悩みを抱える方に、ぜひオススメしたいのが「続・技術者の意地―品質工学と品質管理の融合」です
製造現場に携わる技術者や製品設計者、品質管理に関わる人たちに向けて書かれた、品質向上のために必要な技術力や取り組みについて解説された書籍です。
製造業に携わる人たちにとっては、品質向上は重要な課題であり、本書で紹介されている製品の品質に対する視点や改善のアイデアを得ることができるため、オススメできます!
TQMや品質工学に必要な技術や方法について、数式を使わずにわかりやすく解説されています。物語風ですのでスラスラと読むことができ、専門書を読んでもとっつきにくいと感じている方にもオススメです。
私は生産技術に取り組んでいる際、品質について疑問に思うことを本書が解消してくれます。
・品質工学の基礎から応用までを幅広く紹介し、TQMと品質工学の関係を知りたい
・製造業だけでなく他の業界でも応用可能な技術や取り組みを紹介し、今後の製造業界の方向性を知りたい
そんな方オススメな「続・技術者の意地―品質工学と品質管理の融合」がどんな本なのかわかる
「続・技術者の意地―品質工学と品質管理の融合」とは?
本書はどんな本?
前著「技術者の意地―読むだけでわかる品質工学」の続編です。
前著は、製品設計の部門中心の内容に対して、本作は、ものづくりの全体的な視点がメインとなっています。ものづくりを語るうえでTQMと品質工学の関係を明確にした内容になっています。
技術者である主人公が、海外進出する多くの日本企業が直面する「課題」と「解決策」について、壁にぶつかりながらも突き進んでいきます。
その中で、製造現場における品質向上のために必要な技術力について具体例を用いてわかりやすく解説されています。
製造現場における品質向上には、現場の条件に左右されない技術力の向上と全社的な取り組みが必要であることをストーリー形式で説明しています。
著者の紹介
著者の長谷部 光雄は、品質工学の専門家で、著書やセミナーでその分野の知識を広めている方です。元技術者であり、開発や製造現場のことを熟知しています。
名古屋大学理学部物理学科を卒業後、リコーに入社し、複写機やプリンターの新製品開発や新技術開発に従事しました。
エリート街道を歩んでますね!
書籍の情報
作者名 | 長谷部 光雄 |
タイトル | 続・技術者の意地―品質工学と品質管理の融合 |
発売年 | 2013年 |
ジャンル | 工学 |
出版社 | 日本規格協会 |
この本から得られるものは?
品質向上に必要なことがわかる
製造現場における品質向上に必要な技術力や取り組みについて、具体的な知見を得ることができます。
製造現場における品質向上には、単に技術力を向上するだけでなく、設計技術のロバスト性を高め、品質管理を徹底し、作業者の正確な作業と情報共有、全社的な品質マネジメントシステムの導入など、多岐にわたる取り組みが必要であることが主張されています。
また、部署間の連携や全社的な取り組みの必要性についても触れられています。
これらの情報から、製造現場における品質向上に向けた具体的なアプローチや視点を得ることができます。
製造業から他業界への応用と未来への展望についてわかる
取り上げられている技術や取り組みは、製造業に限らず、他の業界でも応用可能であるため、技術やマネジメントに興味のある方にも有益です。
さらに、近年はIoTやAIなどの技術が製造業界でも注目されており、製造現場での品質向上にも応用が期待されています。本書は、工学的な方法論を身に着けた技術者の必要性についても触れられており、今後の製造業界の方向性についても示唆しています。
したがって、製造業に携わる人や技術やマネジメントに興味のある方にとって、品質向上に必要な技術や取り組みについて理解を深めるための参考となります。
学びのポイント
製造現場において品質向上を実現するために必要な技術力や取り組みについて学ぶことができます。具体的には、以下のようなポイントが挙げられます。
1.ロバスト性を備えた設計技術を確立することで、生産現場での管理をしなくても均一な製品を作ることができるようになる。
2.品質管理部門が製造工程での品質管理を徹底し、製造工程における変動要因を抑制することが重要である。
3.作業者が正確に作業を行い、製品の品質に関する情報を共有することが必要である。
4.データ分析や現象解析に加えて、将来の品質を予測する工学的方法論を身に着けた技術者が必要である。
このように、品質向上には多岐にわたる取り組みが必要であり、単に技術力を向上するだけでなく、設計技術のロバスト性の確保や品質管理の徹底、作業者の正確な作業と情報共有、全社的な品質マネジメントシステムの導入など、幅広い分野にわたる取り組みが必要であることが学べます。
まとめ
この本は、前著に引き続き、読みやすく理解しやすい品質工学の入門書です。
前著が製品設計の部門中心に書かれていたのに対して、本書は製造にかかわる部門中心に書かれています。
TQMと品質工学に興味を持ち、それを実践的な手法で学びたい人々にとって非常に有益です。
読者は品質のレベルを向上させるためのヒントを多数見つけることができます。
TQMや品質工学に初めて取り組む方や品質改善に悩んでいる方は、前著とともにぜひ読んでいただきたい書籍です。
前編の「技術者の意地―読むだけでわかる品質工学」の書評はこちら